固定資産税・都市計画税の軽減について

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新型コロナウイルスによる感染が拡大する中、東京都では緊急事態措置が令和2年4月10日に公表され、一定の施設を運営する事業者に対して休業や営業時間の短縮が要請されています。

そのため、中小企業は固定費の削減が必要不可欠であると当事務所では考えています。

詳細は中小企業の皆様に今やっていただきたい3つの施策をご覧ください。

固定費の代表例である家賃を下げるため、大島税務会計事務所のお客様も大家(オーナー)に交渉していただいていますが、その対応は千差万別です。

先3ヶ月の家賃を半額にしてもらえた方や、一切応じてもらえなかった方。

または家賃を保証金・敷金から減額するという方法もあります。これはあくまで一時的な資金繰りのためにはなりますが、将来的には保証金・敷金を積みなおす必要があるため、あまりいい方法ではありません。

そのような状況で何とか家賃を下げてもらえる方法はないものかと検討したところ、思い出したのがこの「固定資産税・都市計画税の軽減」です。

固定資産税・都市計画税の軽減とは

緊急経済対策における固定資産税・都市計画税の軽減とは、中小事業者が負担するすべての設備や建物等の固定資産税及び都市計画税について、2020年2~10月の任意の3ヶ月の売上が前年同期比30%以上減少した場合は1/2に軽減し、50%以上減少した場合は全額を免除するという制度です。

つまり、大家が家賃を3ヶ月間30%以上値引きしたときは、大家の負担する固定資産税が半額になるということです。さらに家賃を半額にすれば固定資産税は0円となります。

注意点は2つあります。

軽減される固定資産税等は2021年度の固定資産税であること

2020年2月~10月うち3ヶ月間の減額という要件のため、直近の2020年6月頃に通知される固定資産税等は減額できません。

あくまで、2021年度の固定資産税等が軽減されるため、軽減された納付書が届くのは2021年6月頃となります。

そのため、資産を多くお持ちの大家であればよいのですが、大家自身も逼迫しているような状態の場合には、先の固定資産税より目先の家賃という考えとなり、なかなか家賃を下げるわけにはいかないという可能性もあります。

売上減少は固定資産ごとに判定するわけではないこと

大家が持っている不動産が1件の場合には問題ありませんが、複数持っていた場合にはこの売上減少の判定方法は注意しなければなりません。

つまり、大家が2つ以上の不動産を所有していた場合には、全体で売上が減少しているかを判定します。

例えば下記のような状況が考えられます。

2つの不動産を持っている大家が、家賃の高い不動産Aは値引きするが、不動産Bは値引げなしとした場合でも、売上は50%減少という要件を満たすことができます。

したがって、大家は2021年度の固定資産税等は免除されます。もちろん、値下げをしていない不動産Bの固定資産税等もです。

つまり、大家が複数の不動産を持っている場合には、どの不動産から値引きするかを選択することができるのです。したがって、自分の親族・同族会社に貸している不動産や今後も継続してもらいたいテナントから優先して値引きをするという現象が生じます。

また、下記のような場合もあります。

これもよくありそうなケースだと思います。不動産Aのテナントが廃業してしまったため家賃がなくなってしまった場合です。

すでに不動産Aの家賃が途絶えてしまったことで売上50%減少という要件は満たされてしまっていますので、不動産Bを値下する必要はありません。

まとめ

今回は、緊急経済対策における固定資産税・都市計画税の軽減について説明させていただきました。

もし、現在家賃の値下げ交渉をされている方がいらっしゃれば、このような制度があることを値下の材料として使ってみてはいかがでしょうか。

よくある質問

償却資産として申告している売電用ソーラーパネル、アスファルト舗装は当制度の対象となるか?

対象になります。
償却資産については特定の資産を除外することもなく、事業用でないということが考えられないことから、原則として償却資産申告書に記載している資産のすべてが対象になると考えて問題ありません。

親族や同族会社に賃貸している建物でも当制度の対象となるか?

国の家賃支援給付とは異なり、親族や同族会社に賃貸している場合でも要件を満たせば当制度の対象となります。

ただし、親族や同族会社に無償で貸しており、当該申請者に事業収入が全くない場合には、事業収入の減少要件を満たさないことから、当制度を受けることができません。

個人所有の建物を同族会社に使用させているが、同族会社の事業収入が減少した場合に当制度を適用することはできるか?

できません。
当制度は申請者(不動産所有者)の事業収入の減少を要件としているため、申請者自身の事業収入が減少していない場合には当制度は適用できません。