4~6月に緊急事態宣言が発令されたことに伴い、各種給付金が創設されました。
そのうち、国の「月次支援金」と東京都の「月次支援給付金」は併給が可能ですが、東京都の「休業協力支援金」については前者2つの給付金と併給ができません。
基本的には東京都休業協力支援金を優先したほうが給付額は多くなるのですが、月次支援金の方が申請開始日が早いため知らずに申請してしまう方が多いのではないかと思われます。

今回は東京都の中小企業で、4月25日~5月11日または5月12日~5月31日の期間で休業協力依頼のあったエステサロン等について、どの給付金が受けられるのか、どの給付金が併給できないのか、どの給付金をもらえば一番得になるのかを説明していきたいと思います。
当事務所のお客様にも休業協力依頼の対象となった、ネイルサロン、エステサロン、整体院、フォトスタジオ、旅行代理店、スポーツ用品店、おもちゃ屋、金券ショップ、ペットショップ、古本屋などの経営者がおりますので、そういった事業者の方に情報がお届けできればと思います。
1.各給付金の概要
①月次支援金
国が実施している月次支援金は、4月以降を対象に、緊急事態宣言(飲食店時短営業・外出自粛)の影響を受け、売上が前年または前々年に比較して50%以上減少した中小企業者に対する給付金です。
給付額は1ヶ月ごとに法人は20万円、個人は10万円を上限に、月ごとの売上の減少額に応じて給付されます。
詳細は別ページにて紹介しております。
②東京都月次支援給付金
東京都の実施している月次支援給付金は、上記月次支援金に対して東京都の上乗せ・横出しの給付金です。
主な要件は月次支援金と同様ですが、売上が前年または前々年に比較して50%未満30%以上減少した中小企業者に対しても横出しで給付があります。
給付額は売上が50%以上減少し、月次支援金の支給を受けている場合は、1ヶ月あたり法人は5万円、個人は2万5千円です。
一方、売上が50%未満30%以上減少している場合は、1ヶ月あたり法人は10万円、個人は5万円です。
詳細は別ページにて紹介しております。
③東京都休業協力支援金
東京都の休業協力支援金は、4月25日~5月11日または5月12日~5月31日の期間で休業協力依頼のあった施設が、休業に協力した場合に支給される給付金です。
なお、①飲食店に対する感染拡大防止協力金、②大規模施設及びそのテナントに対する支援金、③中小企業に対する支援金の3種類がありますが、今回説明するのは1,000㎡以下の対象施設と1,000㎡超の大規模施設のテナントになります。
飲食店や大規模施設に対する協力金・支援金は売上や床面積により支給額が異なるため、比較が難しいことから省略いたします。
この給付金の給付額は休業1日あたり2万円ですので、4月25日~5月11日で休業した場合は34万円、5月12日~5月31日で休業した場合は40万円となります。
2.併給ができない給付金
結論としては月次支援金と東京都月次支援金は併給ができます。
一方、東京都休業協力支援金は上記2つの給付金と併給することができません。
ただし、対象となる期間が異なる場合は併給ができます。つまり、東京都休業協力支援金は4月又は5月の休業を対象にしておりますので、6月の月次支援金や東京都月次支援金を申請することに問題はありません。
月次支援金の概要資料では下記の通り「臨交金を用いている協力金の支給対象となっている事業者は月次支援金の対象外」としています。

一方、東京都休業協力支援金について東京都に問い合わせたところ、「東京都休業協力支援金は東京都独自の財源で臨交金を用いていない」と回答いただいたため併給は可能と思っていたのですが、5月31日に公表された東京都休業協力支援金の概要資料では、下記の通り「月次支援金の支給を受けた事業者は、本支援金の対象外」と記載されています。

そのため、国の月次支援金と東京都休業協力支援金は併給できないことがわかったのですが、東京都月次支援給付金と東京都休業協力支援金の併給については、現状正式な情報が公開されておりません。
しかし、国の月次支援金は併給できないが、東京都月次支援給付金は併給できるというのは考えにくいことからも、「月次支援金+東京都月次支援給付金」を申請するか、「東京都休業協力支援金」を申請するかの選択となりそうです。
3.給付額の有利判定
それぞれの給付額をまとめると下記のような表になります。
法人の場合
4月 | 5月 | 6月 | |
月次支援金 | 20万円 | 20万円 | 20万円 |
東京都月次支援給付金 (50%以上減少・上乗せ) | 5万円 | 5万円 | 5万円 |
合計 | 25万円 | 25万円 | 25万円 |
4月25日~5月11日 | 5月12日~5月31日 | |
東京都休業協力支援金 | 34万円 | 40万円 |
個人の場合
4月 | 5月 | 6月 | |
月次支援金 | 10万円 | 10万円 | 10万円 |
東京都月次支援給付金 (50%以上減少・上乗せ) | 2万5千円 | 2万5千円 | 2万5千円 |
合計 | 12万5千円 | 12万5千円 | 12万5千円 |
4月25日~5月11日 | 5月12日~5月31日 | |
東京都休業協力支援金 | 34万円 | 40万円 |
上記のように法人・個人どちらの場合でも、4月・5月は「東京都休業協力支援金」、6月は「月次支援金+東京都月次支援給付金」で申請するのが一番有利と思われます。
さらに、複数店舗を運営している場合には「東京都休業協力支援金」は店舗数に応じて支給額が増額するため、さらに「東京都休業協力支援金」の方が有利となります。
なお、4月25日~5月11日について休業に協力しなかった場合、「東京都休業協力支援金」の同期間分の申請はできませんが、4月分の「月次支援金+東京都月次支援給付金」が申請できるため注意してください。
4.申請開始日に注意
上記のとおり基本的には「東京都休業協力支援金」の方が有利となるのですが、申請開始日が月次支援金の方が早いため注意してください。
月次支援金は6月16日から開始し、後追いで東京都月次支援給付金の申請が開始されます。
一方、東京都休業協力支援金は6月30日から申請開始となります。
そのため、あわてて月次支援金を申請してしまうと、後から開始される東京都休業協力支援金が受けれなくなるということになります。
5.補足
なお、緊急事態宣言が5月31日までだったのが6月20日までに延長されておりますが、冒頭にお話ししたようなエステサロンなど(商業施設第7号、第12号)の施設については5時から20時までの営業時間短縮の協力依頼が出されております。
しかし、この6月1日から6月20日の営業時間短縮協力依頼については協力金・支援金の給付は予定されておりません。