令和2年分の年末調整の注意点

スポンサーリンク

いよいよ今年も終盤となり、年末調整の時期となりました。
令和2年分の年末調整より新たな用紙が加わり、昨年と比べて記入しなければならない内容が増加しております。

年末調整の方法については、他にも多くの説明サイトがあります。
中でもすべてを網羅しているのは国税庁の「年末調整がよくわかるページ」です。

年末調整がよくわかるページ|国税庁

ただし、あまりにも情報量が多すぎて「昨年との具体的な違い」についてはわかりづらいかと思います。

そこで、今回は令和2年分の年末調整について昨年との具体的な違いと、注意点についてご説明したいと思います。

1.昨年からの変更点

昨年(令和元年分)との大きな違いは2つです。

①今年より「基礎控除申告書兼配偶者控除等申告書兼所得金額調整控除申告書」(以下「基配所控除申告書」といいます。)という長い名前の用紙が加わりました。

②今年より給与所得控除・扶養控除・基礎控除などの控除額が改正されました。

多くのサイトは上の②の内容を細々と説明しているためわかりづらいのですが、「基礎控除が増加したり、収入の多い人は基礎控除が受けられなくなったため、基配所控除申告書の記入が必要になった」というのが年末調整をする経理の方や従業員の方が一番抑えておく必要のあるポイントだと思います。

さらに基配所控除申告書が加わったことにより、誰がどの用紙を書く必要があるのかがわかりづらくなりました。

2.記入が必要な申告書について

年末調整のための申告書には、今年から新たに加わった基配所控除申告書以外にも扶養控除等申告書と保険料控除申告書があります。

この3つの申告書のうち、どの申告書の記入が必要なのかをまとめると以下のとおりです。

要件記入が必要な申告書
年間給与収入が103万円以下の方や、
保険料控除を受けない方
扶養控除等申告書
基配所控除申告書
2ヶ所から給与を受けている場合などで
年末調整を受けない方
申告書の記入は不要
年末調整の対象となる給与収入が2,000万円を超えるため
年末調整の対象外となる方
扶養控除等申告書
年間の合計所得金額が2,500万円を超えるため
基礎控除が受けられない方
扶養控除等申告書
保険料控除申告書
上記の要件に該当しない方扶養控除等申告書
保険料控除申告書
基配所控除申告書

簡単にまとめると上記のようになります。
ただし、一定の方は「所得金額調整控除」を受けることができ、受ける場合には基配所控除申告書の記入が必要となる場合があります。「所得金額調整控除」を受ける方はあまり多くはないため、上記の表を作成するうえでは省略しています。

また、今年から加わった基配所控除申告書は基礎控除を受けるために必要な申告書のため、年末調整を受ける人のほとんどが記入する必要があります。
昨年までは「年間給与収入が103万円以下であれば扶養控除等申告書のみを記入すれば良い」というよう記憶していたのですが、今年からは「年間給与収入が103万円以下の方は扶養控除等申告書に加え、基配所控除申告書を記入しないと基礎控除が受けられない」と記憶しておく必要があります。

3.基配所控除申告書の記入上の注意点

基配所控除申告書は、1枚の用紙に①基礎控除、②配偶者控除・配偶者特別控除、③所得金額調整控除の3つの控除について、計算のもととなる情報を記入する必要があります。

①基礎控除の部分については、ご自身の給与収入、給与所得、給与所得以外の所得金額を記入する必要があります。
「収入」と「所得」の違いは多くの方がよく間違えるポイントですので注意が必要です。

当事務所では年末調整の対象となる会社からの給与収入・給与所得については記入不要とし、副業や他に収入がある人のみに記入してもらうこととしています。従業員から記入済みの申告書を受け取った後に、会社からの給与については加筆します。

②配偶者控除・配偶者特別控除については当該控除を受ける方のみ、配偶者の氏名、生年月日、給与収入、給与所得、給与所得以外の収入・所得金額などを記入する必要があります。

配偶者控除・配偶者特別控除は本人の収入と配偶者の収入のどちらも把握しないと控除額が求められないため、非常にわかりづらい申告書となっております。

③所得金額調整控除の欄については、年間の給与収入が850万円を超え、かつ一定の要件を満たす方のみが記入する必要があります。要件に該当する方が少なく、扶養控除等申告書の記載内容からも所得金額調整控除の適用の可否が判断が可能です。

4.まとめ

今年より基配所控除申告書が加わったことにより、多くの事務担当者や従業員が混乱するものと思います。

さらに、給与所得控除・扶養控除・基礎控除などの控除額自体も変わっており、昨年とほとんど収入が変わっていないのに年税額が増減する方もいるため、従業員から説明を求められるということもあるかもしれません。

また、税理士としてはここまで年末調整が手間のかかる作業になるのであれば、年末調整をした会社に対して一部税金計算上の優遇措置があってもいいのではないかと思います。