賃上げ促進税制をわかりにくくしている原因として、この子育てとの両立・女性活躍支援の上乗せがあります。仕事と子育てとの両立や女性活躍への支援に積極的な企業への税制優遇措置ではありますが「くるみん認定」や「えるぼし認定」といった税金とは全く関係のない制度が適用要件となっているため複雑となっています。
全企業向け、中堅企業向け、中小企業向けの3つの制度により要件が変わりますが、本ページにてまとめて掲載いたします。
【目次】
・適用要件
・上乗せされる率
・くるみん認定とは
・えるぼし認定とは
※本記事は2025年3月14日時点の情報です。最新の情報は中小企業庁ホームページなどでご確認ください。
※本記事についての質問・相談は一切お受けしておりませんので、電話・お問い合わせフォームなどからのご連絡はお控えください。
適用要件
①全企業向け、中堅企業向け、中小企業向けの3つの制度のいずれかの要件を満たし、適用すること
②一定の時点において所定の認定を取得していること

全企業向けについては適用事業年度終了の時までにプラチナくるみん認定やプラチナえるぼし認定を取得しなければなりません。
一方、中堅企業向け・中小企業向けについてはプラチナくるみん認定やプラチナえるぼし認定を適用事業年度終了の時までに取得することができなかった場合でも、適用事業年度中に一定の認定を取得すれば柔軟に適用することができるようになっています。ただし、取得した事業年度のみの適用となるため、翌事業年度以降にもこの子育てとの両立・女性活躍支援の上乗せの適用を受けるためには事業年度終了の時までにプラチナくるみん認定やプラチナえるぼし認定を取得する必要があります。
なお、令和4年3月31日以前の基準でのくるみん認定は対象外のため、以前からくるみん認定を取得していたような場合には再度新基準での認定を受ける必要があるため注意が必要です。
上乗せされる率
全企業向け、中堅企業向け・中小企業向け 5%
上記のとおり上乗せされる率は3つの制度で一律5%となっています。
くるみん認定とは
ここまで賃上げ促進税制の適用要件や上乗せされる率を確認しましたが、そもそも「くるみん認定」とはどんな認定なのでしょうか。
くるみん認定とは「次世代育成支援対策推進法」に基づき、企業が労働者の仕事と子育ての両立に関する「一般事業主行動計画」を策定し、行動計画に定めた目標を達成したなど一定の基準を満たした場合に、申請することにより厚生労働大臣の認定を受けることができる制度です。
具体的には法定時間外労働が少なく、男性労働者の育児休業等取得率が一定以上の企業が認定を取得することができます。
くるみん認定を取得することにより、広告や求人で自社が子育てサポート企業であることをアピールできるようになり、人材の定着につながるなどの効果が期待できます。
また、賃上げ促進税制以外でもくるみん認定を取得していることにより融資や助成金などの加点要素となることがあります。
一方で行動計画書を作成することや、行動計画書を一般・従業員に公表周知するなどの手続きがあります。さらにくるみん認定を取得するためには男性の育児休業等取得率を一定割合以上にするなどの要件を満たす必要があります。
そのため、2025年2月時点の認定企業数はくるみん認定4,943社(うちプラチナくるみん認定715社)となっており、何百万とある企業のうちくるみん認定を取得しているのは1%にも満たない現状となっています。
えるぼし認定とは
えるぼし認定とは「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」に基づき、企業が女性の活躍に関する「一般事業主行動計画」を策定し、取組の実施状況が優良であるなど一定の基準を満たした場合に、申請することにより厚生労働大臣の認定を受けることができる制度です。
具体的には採用や就業において女性が男性同等の基準で行われている企業が認定を取得することができます。
えるぼし認定についても取得することにより、広告や求人で自社が女性活躍を推進している企業であることをアピールできるようになり、人材の定着につながるなどの効果が期待できます。
また、賃上げ促進税制以外でもえるぼし認定を取得していることにより融資や助成金などの加点要素となることがあります。
一方でくるみん認定と同様に行動計画書を作成することや、行動計画書を一般・従業員に公表周知するなどの手続きがあります。さらにえるぼし認定を取得するためには女性の採用率、平均勤続年数、管理職数などを一定以上にするなどの要件を満たす必要があります。
そのため、2025年2月時点の認定企業数はえるぼし認定3,378社(うちプラチナえるぼし認定73社)となっており、くるみん認定を取得している企業よりもさらに少ないものなっています。