賃上げ促進税制を適用する場合に、資本金の額や従業員数が一定以上の規模の事業者についてはマルチステークホルダー方針を公表し届け出ることが適用要件となっています。
※本記事は2025年3月14日時点の情報です。最新の情報は中小企業庁ホームページなどでご確認ください。
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提出義務者
賃上げ促進税制を適用する全ての事業者がマルチステークホルダー方針を公表し届け出る必要があるわけではなく、以下の一定規模以上の事業者に対してのみ義務付けられています。
【全企業向けを適用する場合】資本金10億以上かつ従業員数1,000人超の法人、従業員数2,000人超の個人事業主
【中堅企業向けを適用する場合】従業員数1,000人以上の法人(個人事業主は不要)
【中小企業向けを適用する場合】マルチステークホルダー方針は法人・個人事業主ともに不要
提出までの流れ
①パートナーシップ宣言の公表
マルチステークホルダー方針において「パートナーシップ構築宣言をしている」ことが前提となるため、まずはパートナーシップ構築宣言を作成し、ポータルサイトにて公表する必要があります。
作成や公表の方法は下記ポータルサイトに掲載されているため割愛しますが、記載要領やひな形があるため比較的簡単に公表までの手続きができると思います。
しかしながら、パートナーシップ構築宣言が公表されているURLをマルチステークホルダー方針に掲載する必要があり、パートナーシップ構築宣言が公表されているURLを確認(登録完了)するまでには10日ほど要するため、登録申請していただきたいと思います。
②マルチステークホルダー方針の作成・公表(適用事業年度終了の日まで)
経済産業省の賃上げ促進税制のサイトにて公表されている様式を用いて自社のマルチステークホルダー方針を作成します。こちらも基本的には様式の文言の確認修正をするだけで作成できます。
そして、作成したマルチステークホルダー方針を適用事業年度終了の日(個人事業主の場合は適用年の12月31日)までに自社のウェブサイトにて公表する必要があります。
法人税申告書などを作成するのは事業年度終了後であるため、事業年度終了後に賃上げ促進税制の適用があることや、マルチステークホルダー方針の公表が必要だったことに気づくことも多いようです。
そのため、マルチステークホルダー方針の公表が必要になる可能性がある事業者は、給与の増加や適用ができるかに関わらず、事前にマルチステークホルダー方針の公表をしておいた方が良いと思われます。
また、マルチステークホルダー方針に変更がない限りは更新する必要はないため、自社のウェブサイトにて公表を継続していれば問題はありません。
③経済産業省への届出(適用事業年度終了の日の翌日から45日以内)
マルチステークホルダー方針を公表した旨の届出をGビズフォームにて経済産業省に届け出る必要があります。この届出期限が適用事業年度終了の日(個人事業主の場合は適用年の12月31日)から45日以内となっているため注意が必要です。
また、提出方法として郵送は認められず必ずGビズフォームにて提出する必要があります。このGビズフォームにて提出するためには「gBizIDプライム」というアカウント登録が必要となり、オンライン申請であれば即日発行できますが、郵送申請の場合は約2週間かかります。
したがって、事前に「gBizIDプライム」のアカウント登録をしておいた方が良いです。
また、このマルチステークホルダー方針を公表した旨の届出は、更新の有無にかかわらず適用事業年度ごとに提出する必要があります。提出期限が適用事業年度終了の日の翌日から45日以内のため法人税申告書などが出来上がる前に提出期限を迎えてしまう可能性があるため、給与の増加や適用ができるかに関わらず、事前に届出の提出をしておいた方が良いと思われます。
④確定申告書に受理通知書の写しを添付(確定申告書提出期限まで)
Gビズフォームから受理通知書をダウンロードし、確定申告書に添付して提出します。