【賃上げ促進税制】教育訓練費の上乗せ要件

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賃上げ促進税制をわかりにくくしている原因として、この教育訓練費の上乗せがあります。

全企業向け、中堅企業向け、中小企業向けの3つの制度により要件や上乗せされる率が変わりますが、本ページにてまとめて掲載いたします。

【目次】
適用要件
上乗せされる率

※本記事は2025年3月14日時点の情報です。最新の情報は中小企業庁ホームページなどでご確認ください。
※本記事についての質問・相談は一切お受けしておりませんので、電話・お問い合わせフォームなどからのご連絡はお控えください。

適用要件

①全企業向け、中堅企業向け、中小企業向けの3つの制度のいずれかの要件を満たし、適用すること

②教育訓練費が前事業年度に比べ増加していること(全企業向け、中堅企業向けを適用する場合は10%以上、中小企業向けを適用する場合は5%以上)

③適用する事業年度の教育訓練費が雇用者給与等支給額の0.05%以上であること

上乗せされる率

全企業向け、中堅企業向け 5%

中小企業向け  10%

教育訓練費の額

教育訓練費については以下のような費用が該当します。

事業者が教育訓練等を自ら行う場合の費用(外部講師謝金、外部施設使用料等)

①事業者がその国内雇用者に対して、外部から講師又は指導員(以下「外部講師等」)を招聘し、講義・指導等の教育訓練等を自ら行う費用であること。
・講義・指導等の内容は、大学等の教授等による座学研修や専門知識の伝授のほか、技術指導員等による技術・技能の現場指導などを行う場合も対象となります。
・招聘する外部講師等は、当該法人の役員又は使用人以外の者であること。(当該法人の子会社、関連会社等のグループ企業の役員又は使用人でも可。)
・外部の専門家・技術者に対し、契約により、継続的に講義・指導等の実施を依頼する場合の費用も、対象となります。

②外部講師等に対して支払う報酬、料金、謝金その他これらに類する費用であること。
・講義・指導の対価として外部講師等に支払う報酬等。(なお、外部講師等の個人に対して報酬等を直接支払った場合に限らず、法人から講師等の派遣を受けその対価をその法人に支払った場合の費用も対象となります。)
・講義・指導等の対価として支払う報酬等に限らず、当該法人等が負担する外部講師等の招聘に要する費用(交通費・旅費(宿泊費、食費等を含む))も対象となります。

③ 事業者がその国内雇用者に対して、施設、設備その他資産(以下「施設等」)を賃借又は使用して、教育訓練等を自ら行う費用であること。
・当該法人の子会社、関連会社等のグループ企業の所有する施設等を賃借する場合も対象となります。
・その施設等が普段は生産等の企業活動に用いられている場合であっても、賃借して使用する者が、教育訓練等を行うために賃借等する場合は対象となります。

④施設・備品・コンテンツ等の賃借又は使用に要する費用であること。
・施設・備品等の賃借又は使用の対価として支払う費用(使用料、利用料、賃借料、 借上料、レンタル料、リース料等)であること。教育訓練等のために使用されている契約期間であれば、その実際の使用期間に制約されません。

✓施設の例:研修施設、会議室、実習室等
✓ 設備の例:教育訓練用シミュレーター設備等
✓ 器具・備品の例:OHP、プロジェクター、ホワイトボード、パソコン等
✓ コンテンツの例:コンテンツDVD、e-ラーニング内のコンテンツ

⑤教育訓練等に関する計画又は内容の作成について、外部の専門知識を有する者に委託する費用であること。

他の者に委託して教育訓練等を行わせる場合の費用(研修委託費)

① 法人等がその国内雇用者の職務に必要な技術・知識の習得又は向上のため、他の者に委託して当該国内雇用者に対して教育訓練等を行わせる費用であること。
✓ 事業として教育訓練を行っている外部教育機関(民間教育会社、公共職業訓練機関、商工会議所等)
✓ 上記以外の一般企業
※委託先が教育訓練を業としていない会社であっても、実態として教育訓練を行うのであれば、委託費は教育訓練費に含まれます。
✓ 当該法人の子会社、関連会社等グループ内の教育機関又は一般企業
※委託先との資本関係の有無にかかわらず当該研修に係る委託費は教育訓練費に含まれます(100%子会社に委託した場合でも含まれます)。

② 教育訓練等のために他の者に対して支払う費用(講師の人件費、施設使用料等の委託費用)であること。

他の者が行う教育訓練等に参加させる場合の費用(外部研修参加費)

① 法人等がその国内雇用者の職務に必要な技術・知識の習得又は向上のため、他の者が行う教育訓練等に当該国内雇用者を参加させる費用であること。
・法人等がその国内雇用者を他の者が行う教育訓練等(研修講座、講習会、研修セミナー、技術指導等)に参加させる費用であること。
法人等が直接又は間接に(国内雇用者を通じて)他の者に対し支払う費用であること。(当該国内雇用者が費用の一部を負担する場合は、その負担された金額を教育訓練費の額から控除する。)

② 他の者が行う教育訓練等に対する対価として当該他の者に支払う授業料、受講料、受
験手数料その他の費用であること。
・教育訓練等の講座等(研修講座、講習会、研修セミナー、技術指導等)の授業料、受講料、参加料、指導料、通信教育に係る費用等(受験手数料は、教育訓練等の一環として各種資格・検定試験が行われる場合に対象となります。)
・法人等がその国内雇用者を国内外の大学院コース等に参加させる場合に大学院等に支払う授業料等聴講に要する費用、教科書等の費用(所得税法上、学資金等として給与に該当するものを除く。)

教育訓練費にならないもの

・自社の役員や社員を講師にした場合に支払った人件費や講師料
・法人等がその使用人又は役員に支払う教育訓練中の人件費、報奨金等
・教育訓練等に関連する旅費、交通費、食費、宿泊費、居住費(研修の参加に必要な交通費やホテル代、海外留学時の居住費等)
・福利厚生目的など教育訓練以外を目的として実施する場合の費用
・法人等が所有する施設等の使用等に要する費用(光熱費、維持管理費、改修・修繕費等)
・法人等の施設等の取得等に要する費用(当該施設等の減価償却費等も対象外)
・教材の購入・製作に要する費用(教材となるソフトウエアやコンテンツの開発費を含む。
ただし、「2.他の者に委託して教育訓練等を行わせる場合の費用(研修委託費)」の中で、委託費の内数として教材の購入・製作に要する費用が含まれているようなケースは、教育訓練費の額の対象となる。)
・教育訓練の直接費用でない大学等への寄附金、保険料等

教育訓練費の明細書の作成保存

教育訓練費の上乗せを適用する場合は、前事業年度と適用事業年度の教育訓練費の明細書を作成し、保存する必要があります。

明細書の様式は自由ですが、以下①~④の事項が全て記載されている必要があります。
①教育訓練等の実施時期 …「年月」は必須、「日」は任意で記載
②教育訓練等の実施内容 …教育訓練等のテーマや内容及び、実施期間
③教育訓練等の受講者 …教育訓練等を受ける予定、又は受けた者の氏名等(個人が特定可能な情報)
④教育訓練費の額の支払証明 …費用を支払った年月日、内容及び金額並びに相手先の氏名又は名称が明記された 領収書の写し等(インターネットで振込等を行った場合は、振込証明書等)

当事務所では以下のようなテンプレートを使用していますので、作成の参考にしていただければと思います。

「教育訓練費の額の明細書」テンプレート ダウンロード