賃上げ促進税制の概要

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本記事では多くの皆さんが賃上げ促進税制を理解していただくことを目的としています。
なお、令和6年度賃上げ促進税制は、法人は令和6年4月1日以降開始の事業年度、個人は令和7年分から適用されます。

【目次】
はじめに
利用できる制度を確認する
全企業向け賃上げ促進税制について
中堅企業向け賃上げ促進税制について
中小企業向け賃上げ促進税制について
賃上げ促進税制の用語集
関連リンク

※本記事は2025年3月14日時点の情報です。最新の情報は中小企業庁ホームページなどでご確認ください。
※本記事についての質問・相談は一切お受けしておりませんので、電話・お問い合わせフォームなどからのご連絡はお控えください。

はじめに

みなさんは「賃上げ促進税制」という言葉を聞いたことはあるでしょうか。

平成25年度税制改正において「所得拡大税制」という名称で、給与の支給額が増加している企業に対し税負担を少なくする制度として導入されました。

その後「賃上げ・生産性向上のための税制」や「人材確保等促進税制」などの名称となり、令和4年度以降は「賃上げ促進税制」となりました。

10年も継続してきた制度ですが、適用している企業は多くありません。もちろん、支給している給与が増加しておらず、適用要件を満たせない企業もありますが、その適用範囲や適用要件・控除割合などが複雑となっており、よくわからないから適用していないという企業も多いのではないかと思います。

「継続雇用者」や「調整雇用者給与等支給増加額」「役務の提供の対価として支払いを受ける金額」など、わかりにくい用語が多く、税理士ですら理解することが難しい制度となっています。

税理士先生の中には「赤字の会社であれば税額がないため、賃上げ促進税制は関係ない」と考えられている方も多いかと思います。
しかし、令和6年度改正により中小企業向け賃上げ税制について「賃上げを実施した年度に控除しきれなかった金額を5年間繰越すことが可能」となりました。そのため、赤字の企業であっても将来に黒字となったときに同制度を利用できるようにするために、同制度についての明細書の添付が必要です。もし、失念すれば依頼者から税理士に損害賠償請求をされるリスクがあります。

この賃上げ促進税制を理解するためには、まず3種類(全企業・中堅企業・中小企業)の制度があることを把握し、自身がどの種類の制度が利用できるのかを確認する必要があります。なお、利用できる制度は1つとは限らず3種類から有利なものを選べることもあります(併用はできず、いずれか1つのみの選択適用となります)。

そして、3種類の制度ごとに適用要件・控除割合を確認していきます。

当サイトでは理解し難い用語には「給与等」のようにリンクを貼っております。確認していくうえで「この用語ってどういう意味?」となった時には、随時確認しながら読み進めていただければと思います。

利用できる制度を確認する

賃上げ促進税制には「全企業向け」「中堅企業向け」「中小企業向け」の3種類があり、適用要件がそれぞれ異なります。企業によっては1種類しか利用できないこともあれば、3種類から有利なものを選択することも可能です(併用はできず、いずれか1つのみの選択適用となります)。

概略として「全企業向け」はその名称のとおり全ての企業が利用でき、「中堅企業向け」は従業員数が2,000人以下の企業、「中小企業向け」は資本金が1億円以下の企業が利用できます。したがって、規模の大きい会社は「全企業向け」しか利用できませんが、小さな会社については3種類すべてを利用できる可能性があります。

経済産業省:「賃上げ促進税制」御利用ガイドブック(令和6年8月5日公表版)1頁より

まずは、自身がどの種類の制度を利用することが可能か、下記の記事より確認してみましょう。

全企業向け賃上げ促進税制について

中堅企業向け賃上げ促進税制について

中小企業向け賃上げ促進税制

賃上げ促進税制の用語集

関連リンク