おはようございます。
江東区亀戸の税理士兼行政書士、大島崇史です。

今日の朝、ふと思ったのですが

事業年度終了届を税理士が代行することは業際問題にならないか?

事業年度終了届というのは建設業許可を受けている事業者に義務付けられているもので

毎事業年度末から4ヵ月以内に工事経歴書や貸借対照表、損益計算書などを提出しなければならないのです。

この貸借対照表や損益計算書は確定申告の際に税務署に提出したものとはちょっと違います。

最終金額(利益)などの数字はほぼ同じですが、

掲載する科目が少し違います。

たとえば「売掛金」は「完成工事未収入金」という科目に変えなくてはならなかったり、

「棚卸資産」を「材料貯蔵品」という科目に振り替えたりと

少しだけ修正が必要になってきます。

では、この事業年度終了届を税理士が作成しても良いのでしょうか?

提出先は都道府県、つまり官公署

官公署への提出手続代理は行政書士の業務ですよね。

ただし、貸借対照表や損益計算書は財務書類の一種ですので

この作成をすること自体は税理士も行っていいはず・・・

まず、財務書類の作成はどちらの業務なのか?

答えは税理士でも行政書士でも作成できるです。

財務書類の作成はどちらの独占業務でもありません。

つまり、士業でない方でも財務書類の作成はできるのです。

ただし、確定申告や税務上の届出書などは税理士の独占業務なので

無資格、他士業ではできません。

一方で官公署に提出する書類の作成、提出代理は行政書士の独占業務です。

したがって、事業年度終了届の提出代理は行政書士にしかできないわけです。

では、官公署に提出する書類の中に財務書類がある場合

「官公署に提出する書類はすべて行政書士の独占業務だ!」

となるのか、それとも

「官公署に提出する書類でも財務書類については誰でも作っていい」

となるのか・・・?

私としては前者の考え方が正しい気がします。

税理士法第2条第2項には

税理士は財務書類の作成を業として行うことができると規定していますが、

そのあとに、他の法律において制限されている場合にはやってはいけないと規定しています。

そうすると、事業年度終了届の財務書類も官公署に提出する書類なので行政書士の独占業務

行政書士法で行政書士しかやってはいけないとなっているのだから、税理士はできない

となるのが普通ではないでしょうか?

ただし、最後に大きな罠がありました。

官公署に提出する書類の作成、代理は行政書士にしかできないのですが、

あくまでこれは有償の場合です。

行政書士法にも「他人の依頼を受け報酬を得て」やるのは行政書士の独占業務と規定しています。

つまりは、無償だったら行政書士法には抵触しないわけです。

実務的にも貸借対照表や損益計算書の修正作業は税理士でも無償でやりますが、

事業年度終了届自体の提出はお客様にお願いする。

もしくは行政書士さんにお願いするというのが多いと思います。

さすがに税理士が事業年度終了届をすべて作成し提出して「無償だ」と言い張っても

「顧問料に上乗せしているのでは」という疑いがかかるだけだと思うので

あくまで財務書類の作成にとどまっているのでしょう。

税理士兼行政書士の場合、どちらの独占業務もできるので実際に問題になることは少ないのですが、

「今、どちらの立場で仕事をしているのか?これは行政書士の仕事でいいのか?」

と考えることがよくあります。

住民税の確定申告書の作成などは、今回の事業年度終了届のケ-スと似ているようで答えが別になります。

住民税の確定申告は市区町村に提出するので行政書士もできるのかと思われますが、

あくまで税金のことなので税理士の独占業務となり、行政書士にはできません。

さらに税理士の場合は無償独占、つまり税理士以外の人がタダでやることも禁止されています。

業際問題って奥が深いです。